相続税の税務調査に選ばれやすい家庭はある?いくら以上で来るのかと確率・選定基準を解説

相続税の税務調査に選ばれやすい家庭

相続税の税務調査とは、申告した内容に漏れや誤りがないかを税務署が確認する手続きです。申告を終えた人の多くが「うちにも来るのか」「いくら以上の財産だと来るのか」を気にします。

実際には、財産額がいくら以上なら調査されるという基準を国税庁は公表していません。金額だけで決まるわけでもありません。一方で、公表されている統計から分かることは多くあります。調査に入られた家庭の82.3%で申告漏れが指摘されています。

また「調査」と一口に言っても、文書や電話による簡易な接触と、自宅に来る実地調査では負担が13.8倍違います。インターネット上では調査の確率が5%とも20%とも書かれていますが、これは数え方が違うだけです。

この記事では、選ばれやすい家庭の特徴、いくら以上で来るのかの実際、確率の正しい読み方、指摘されやすい申告ミス、選ばれにくくする準備までを解説します。

▼ この記事の3行まとめ

  • 財産がいくら以上なら調査されるという基準は公表されていない。金額と生活実態の食い違いで選ばれる
  • 実地調査は申告件数の約5.7%だが、入られると82.3%で申告漏れが指摘され、1件あたり867万円を追徴されている
  • 申告漏れの7割は現金・預貯金と有価証券。土地は13.6%にすぎない
相続税
強い税理士
対応します
どちらの比較を希望しますか?
最大5事務所比較|しつこい営業なし|全国対応

相続税の税務調査に選ばれやすい家庭の5つの特徴

税務署は限られた人員で調査を行うため、申告漏れの可能性が高い家庭から優先的に選びます。選定の基準は公表されていませんが、実際に指摘が集中している類型はデータから読み取れます

ここでは、税務署が着目する5つの特徴を解説します。当てはまる数が多いほど、優先度が上がると考えてください。

遺産総額が基礎控除額を大幅に超えている

相続税は、遺産の合計額が基礎控除を超えたときに発生します。基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。この基礎控除を大きく超える家庭ほど、税額も大きくなります。税務署から見れば、確認する価値が高い案件になります。

令和6年分では、亡くなった1,605,378人のうち相続税の申告をしたのは166,730人でした。課税割合は10.4%で、申告する時点で上位1割に入っています

法定相続人の数 基礎控除額 家族構成の例
1人 3,600万円 子1人のみ
2人 4,200万円 子2人/配偶者と子1人
3人 4,800万円 配偶者と子2人
4人 5,400万円 配偶者と子3人

表の見方:この金額を超えると申告が必要になります。超え方が大きいほど税額も大きく、調査の優先度が上がります。

参照元:国税庁 No.4152 相続税の計算

生前の収入に対して申告された金融資産が少ない

税務署は、被相続人の生前の所得を過去の確定申告や源泉徴収の記録から把握しています。

生涯の収入から生活費を差し引けば、残るはずの金額はおおよそ推定できます。推定より申告された金融資産が明らかに少ないと、どこかに財産が残っていると判断されます

この「収入と財産のギャップ」は、選定でもっとも重視される指標です。財産額そのものより、つじつまが合うかが見られています。高収入だった人ほど、このギャップは目立ちます。会社役員・医師・不動産オーナーなどが該当しやすい類型です。

税務署がどのルートで財産を把握しているかは、下記の記事で解説しています。

相続開始直前に多額の預貯金の出金がある

亡くなる前後の預貯金の動きは、必ず確認される項目です。金融機関には10年分の取引履歴が残っています。入院費や葬儀費用のための出金は自然ですが、使い道が説明できない大きな出金があると疑われます。

引き出した現金が申告されていなければ、手元に残っているとみなされます。相続人が預かっている場合も同じです。数百万円単位の出金が複数回あるケースでは、使途を1件ずつ問われることになります。領収書や記録がないと説明が通りません。

注意:「現金は足がつかない」という理解は誤りです。出金の記録が残っている以上、税務署は引き出された事実を把握しています。

タンス預金がなぜ把握されるのかは、下記の記事で解説しています。

家族名義の預貯金や有価証券が多額にある

配偶者や子・孫の名義でも、実際の管理者が被相続人だった預金は名義預金として相続財産に含まれます。収入のない配偶者の名義に数千万円がある、学生の孫名義に多額の残高があるといったケースが典型です。

判定されるのは名義ではなく実態です。通帳と印鑑を誰が管理していたか、名義人が自由に引き出せたかが決め手になります。毎年110万円ずつ贈与していたつもりでも、贈与契約書がなく本人が口座を知らなければ、贈与は成立していないと判断されます。

名義預金と判定された場合の影響は、下記の記事で解説しています。

土地や非上場株式など評価が複雑な財産が含まれている

土地や非上場株式は、評価の方法によって金額が大きく変わります。判断の余地がある分、誤りも起こりやすくなります。不整形地の補正、貸家建付地の減額、同族会社株式の評価などは、専門家でも見解が分かれることがあります。

意図的でなくても、評価が過小だと判断されれば修正を求められます。評価誤りは悪意の有無を問わず指摘の対象です

特徴 税務署が見ているもの 該当
基礎控除を大幅に超える 税額の規模
収入に対して金融資産が少ない 収入と財産のつじつま
直前に多額の出金がある 引き出した現金の行方
家族名義の資産が多額 口座の実質的な管理者
評価が複雑な財産がある 評価額の妥当性

表の見方:5つのうち該当が多いほど優先度は上がります。1つでも該当するなら、申告前に根拠資料を揃えておいてください

重要ポイント:5つのうち4つは金額の大小ではなく「説明がつくかどうか」です。財産が少なくても、説明できない動きがあれば対象になります。

税務調査はいくら以上で来る?金額の下限は決まっていない

「いくら以上なら税務調査が来るのか」は最も多い疑問ですが、明確な金額の線引きは存在しません。国税庁は財産額ごとの調査基準も、財産規模別の調査率も公表していません

ここでは、公表されていない事実を確認したうえで、検証できる数字から規模感をつかむ方法を解説します。

国税庁は財産額の基準を公表していない

国税庁は毎年、相続税の調査等の状況と申告事績を公表しています。しかしそこに財産額別の調査件数はありません。公表されているのは、調査の総件数、申告漏れの件数と割合、追徴税額、財産別の申告漏れ構成比などです。

つまり「財産が◯円を超えると調査対象」という基準は、そもそも外部から検証できません。

注意:選定の基準が非公開である以上、「◯円未満なら安全」と考えるのは危険です。少額でも説明のつかない動きがあれば対象になります。

「1億円未満なら3%」といった数字を見かける理由

他のサイトでは、財産規模ごとの調査率が具体的な数字で示されていることがあります。しかし国税庁の公表資料に、財産規模別の調査件数はありません。それらは各社が経験から出した推計値であり、国税庁の統計ではありません

推計そのものが無意味とは限りませんが、根拠が示されていない数字を判断の基準にするのは避けるべきです。この記事では、国税庁が公表している数値だけを使います。推計値は載せません。

検証できる数字で見る規模感

公表されている数値からは、調査を受けた家庭の規模感が読み取れます。次の3つが目安になります。

指標 金額・割合 出典
課税割合(申告が必要だった人の割合) 10.4% 令和6年分 申告事績
被相続人1人あたりの課税価格 5,070万円 令和6年分 申告事績
実地調査1件あたりの申告漏れ課税価格 3,093万円 令和6事務年度 調査等の状況

表の見方:申告した家庭の平均的な課税価格は5,070万円です。調査に入られた家庭では平均3,093万円の申告漏れが見つかっています

重要ポイント:3,093万円という金額は、平均的な申告額の6割に相当します。調査の対象は特別な富裕層だけではありません

計算ロジック:【前提】令和6年分の申告事績。課税価格の総額23兆3,846億円÷申告件数166,730人=1人あたり5,070万円。申告漏れは令和6事務年度の実地調査で、2,942億円÷9,512件=1件あたり3,093万円です。

参照元:国税庁 令和6年分 相続税の申告事績の概要

金額より「金額と実態の食い違い」で選ばれる

選定で重視されるのは、財産の絶対額ではなく、生前の収入や生活実態とのつじつまが合うかどうかです。生涯収入が多かったのに申告財産が少ない、退職金を受け取っているのに残高が合わない、といった食い違いが着目点になります。

逆に、財産が多くても内容がすべて説明でき、根拠資料が揃っていれば指摘は出ません。「いくら以上か」を気にするより、自分の申告に説明できない部分がないかを点検するほうが実務的です。

重要ポイント:金額の線引きを探すのではなく、収入・生活費・財産の3つが整合しているかを確認してください。ここが選定の実質的な基準です。

相続税がかかるかどうかの判定は、下記の記事で解説しています。

申告が必要ないケースの判定は、下記の記事で解説しています。

調査に来る確率|実地調査・簡易な接触・合計で数字が変わる

調査の確率を調べると、5%と書かれたページも20%と書かれたページも見つかります。これは数字が間違っているのではなく、何を「調査」と数えているかが違うだけです

ここでは3つの数字を定義ごとに整理し、自分がどの数字を見るべきかが分かる形で解説します。

3つの数字を定義ごとに整理する

税務署の接触には、文書や電話による簡易な接触と、自宅に調査官が来る実地調査の2種類があります。令和6事務年度の実績を、申告件数に対する割合とあわせて並べると次のようになります。

接触の種類 件数 申告件数に対する目安 申告漏れが出た割合
簡易な接触(文書・電話・来署依頼) 21,969件 約13.2% 26.4%
実地調査(自宅などに来る) 9,512件 約5.7% 82.3%
合計 31,481件 約18.9%

表の見方:自宅に調査官が来る実地調査は約5.7%=18人に1人です。文書や電話まで含めると約18.9%で、5人に1人が何らかの接触を受けています。

重要ポイント:簡易な接触で申告漏れが出るのは26.4%ですが、実地調査では82.3%で指摘が出ています。実地調査は「疑いが固まってから来る」ものだと考えてください。

計算ロジック:【前提】分子は令和6事務年度の実績、分母は令和6年分の申告件数166,730人。国税庁は調査率を公表しておらず、事務年度と年分は対象期間が異なるため目安です。

参照元:国税庁 令和6事務年度における相続税の調査等の状況

実地調査に入られると82.3%で申告漏れが指摘される

実地調査9,512件のうち、申告漏れなどの非違があったのは7,826件でした。割合にして82.3%です。この割合は例年8割を超えています。令和5事務年度は84.2%で、高い水準が続いています。

実地調査の連絡が来た時点で、8割は何らかの修正になると考えたほうが現実的です。税務署は資料情報を集めたうえで、申告額が過少と想定される事案に絞って実地調査を行っています。

実地調査は前年から11.2%増えている

調査の件数は年によって動きます。近年は減っておらず、むしろ増加に転じています。令和6事務年度の実地調査は9,512件で、前年の8,556件から11.2%増えました。追徴税額も735億円から824億円へ12.2%増えています。

項目 令和5事務年度 令和6事務年度 前年比
実地調査件数 8,556件 9,512件 111.2%
申告漏れ等の非違件数 7,200件 7,826件 108.7%
非違割合 84.2% 82.3% ▲1.9pt
追徴税額(合計) 735億円 824億円 112.2%

表の見方:件数も追徴税額も1割以上増えています。非違割合だけが1.9ポイント下がっているのは、調査の対象が広がったためと読めます。

追徴税額824億円の内訳は、本税716億円と加算税109億円です。加算税だけで1件あたり100万円を超える計算になります。

重要ポイント:「最近は調査が減っている」という話は、実地調査の件数で見る限り当てはまりません。簡易な接触も含めれば、接触の総数は5年前の1.5倍を超えています。

サイトによって5%〜20%と数字が違う理由

確率の数字が食い違うのは、次の3つのどれかがずれているためです。

ずれる要素 内容 数字への影響
分子の定義 実地調査だけか、簡易な接触を含めるか 5.7%と18.9%で3倍以上変わる
事務年度 どの年の調査実績を使うか 調査件数は年により1割前後動く
分母の取り方 どの年分の申告件数を使うか 申告件数は毎年増えている

表の見方:もっとも影響が大きいのは分子の定義です。「調査」と書かれていたら、実地調査だけの数字か確認してください

重要ポイント:自分が心配しているのが「自宅に来る調査」なら見るべきは約5.7%です。「税務署から何か連絡が来る可能性」なら約18.9%を見てください。

簡易な接触は5年で1.6倍に増えている

近年は、実地調査より簡易な接触が急速に増えています。件数の推移は次のとおりです。

事務年度 簡易な接触の件数 追徴税額(合計)
令和2 13,634件 65億円
令和3 14,730件 69億円
令和4 15,004件 87億円
令和5 18,781件 122億円
令和6 21,969件 138億円

表の見方:簡易な接触は令和2年から5年で1.6倍に増え、公表を始めた平成28事務年度以降で最高になりました。接触を受ける可能性自体は年々上がっています

重要ポイント:実地調査の件数が横ばいでも、文書や電話での確認は増えています。少額の申告漏れも拾われるようになったと理解してください。

調査がいつ来るのかは、下記の記事で解説しています。

どの接触を受けるかで負担は13.8倍変わる

調査を心配するとき、多くの人は「来るか来ないか」を気にします。しかし本当に効くのは別の軸です。どの接触を受けるかで、1件あたりの負担は63万円から2,187万円まで開きます

ここでは接触の種類ごとの追徴税額を並べ、どこで止めれば負担が小さいかを解説します。

1件あたりの追徴税額を並べる

令和6事務年度の実績から、接触の種類ごとの1件あたり追徴税額を整理します。

接触の種類 件数 申告漏れが出た割合 1件あたりの追徴税額
簡易な接触 21,969件 26.4% 63万円
実地調査(全体) 9,512件 82.3% 867万円
うち無申告事案 650件 86.5% 2,187万円
贈与税の実地調査 2,778件 93.0% 443万円

表の見方:簡易な接触の63万円に対し、実地調査は867万円です。その差は13.8倍・804万円になります。

重要ポイント:問題は「調査が来るか」ではなく「どの段階で止まるか」です。文書や電話の段階で正しく応じれば、負担は大きく変わります

計算ロジック:【前提】令和6事務年度の実績。簡易な接触は追徴税額138億円÷21,969件=63万円。実地調査は824億円÷9,512件=867万円。無申告事案は142億円÷650件=2,187万円。贈与税は123億円÷2,778件=443万円です。

参照元:国税庁 令和6事務年度における相続税の調査等の状況

簡易な接触なら1件あたり63万円で済む

簡易な接触とは、文書の送付、電話での連絡、税務署への来署依頼による面接のことです。自宅に調査官が来るわけではなく、申告内容の確認や計算誤りの是正が目的です。件数の割に指摘率は26.4%と低くなっています。

ここで正しく回答し、必要なら修正申告をすれば、負担は平均63万円で収まります。連絡を放置したり、あいまいな回答をしたりすると実地調査に移行します。早く正確に応じることが最大の防御です。

実地調査になると1件あたり867万円

実地調査は、資料情報から申告額が過少と想定される事案に絞って行われます。だからこそ指摘率が82.3%と高くなります。令和6事務年度の追徴税額は合計824億円で、うち加算税が109億円を占めています。

1件あたりの申告漏れ課税価格は3,093万円、追徴税額は867万円でした。前年の859万円から増えています

無申告のまま調査を受けると1件あたり2,187万円

最も重いのは、申告義務があるのに申告していなかった無申告事案です。令和6事務年度の無申告事案の実地調査は650件で、非違割合は86.5%でした。1件あたりの申告漏れ課税価格は1億1,517万円です。

追徴税額は1件あたり2,187万円で、実地調査全体の平均867万円の2.5倍にのぼります。無申告事案への調査は、件数と追徴税額の両方で強化が続いています。

事務年度 実地調査件数 追徴税額(合計)
令和2 462件 61億円
令和3 576件 74億円
令和4 705件 111億円
令和5 690件 123億円
令和6 650件 142億円

表の見方:件数は横ばいですが、追徴税額は令和2年の61億円から142億円へ2.3倍になりました。1件あたりの回収額が上がっていることを示しています。

注意:無申告事案の追徴税額142億円は、公表を始めた平成21事務年度以降で最高です。申告しないという選択が最も高くつきます

海外に資産があると1件あたり4,889万円

海外資産が絡む事案は、調査の対象になりやすいうえに指摘額も大きくなります。令和6事務年度の海外資産関連事案に対する実地調査は1,359件で、前年の947件から4割以上増えました。

そのうち海外資産に係る申告漏れの非違件数は209件、申告漏れ課税価格は97億円でした。非違1件あたりの海外資産に係る申告漏れ課税価格は4,889万円で、国内案件の平均を大きく上回ります。

各国の税務当局は、共通報告基準にもとづいて非居住者の金融口座情報を交換しています。海外だから見つからないという前提は成り立ちません。地域別の非違件数では北米が104件で最も多く、アジア77件、欧州26件、オセアニア12件と続きます。

財産別では現金・預貯金等が117件で最多です。海外でも指摘の中心は預金であり、不動産は18件にとどまります。

重要ポイント:100万円を超える海外送金には国外送金等調書が提出されます。過去の送金記録から資産の存在が推定されるため、申告漏れは把握されやすい領域です。

重加算税が課されるのは13.6%

申告漏れを指摘されても、全件に重加算税が課されるわけではありません。令和6事務年度の重加算税賦課件数は1,065件で、非違件数7,826件に対する割合は13.6%でした。

重加算税は財産を隠したり、事実を仮装したりした場合に課されます。単なる評価誤りや計上漏れでは課されません。逆に言えば、意図的に隠した事実があると認定されれば、通常の加算税より重い負担になります。

重要ポイント:調査で指摘される8割超のうち、重加算税の対象は13.6%です。多くは「隠した」ではなく「漏れた」「誤った」ケースだと分かります。

参照元:国税庁 No.9205 延滞税について

ペナルティの税率と修正申告のやり方は、下記の記事で解説しています。

申告漏れの7割は現金・預貯金と有価証券

「不動産が多いと調査されやすい」という理解は、実際の統計と食い違います。申告漏れとして指摘された財産の7割超は現金・預貯金と有価証券で、土地は13.6%にすぎません

ここでは財産別の構成比を確認し、なぜこの偏りが生まれるのかを解説します。

申告漏れ相続財産の構成比

令和6事務年度に申告漏れとして把握された相続財産は2,879億円でした。財産別の内訳は次のとおりです。

財産の種類 構成比 金額
現金・預貯金等 43.3% 1,247億円
有価証券 29.1% 837億円
土地 13.6% 393億円
家屋 1.7% 50億円
その他 12.3% 353億円

表の見方:現金・預貯金等と有価証券だけで全体の72.4%を占めます。土地と家屋を合わせても15.3%にとどまります。

重要ポイント:不動産を多く持っているかどうかより、預貯金と証券口座をすべて申告できているかのほうがはるかに重要です。

計算ロジック:【前提】令和6事務年度の申告漏れ相続財産の金額2,879億円に対する構成比。現金・預貯金等の構成比は令和2年41.4%・令和3年41.6%・令和4年41.0%・令和5年44.1%・令和6年43.3%で、5年間4割台で安定しています。

参照元:国税庁 令和6事務年度における相続税の調査等の状況

なぜ土地ではなく現金・預貯金なのか

土地は登記されているため、存在自体は税務署に把握されています。争点になるのは評価額の妥当性です。一方の現金・預貯金は、存在そのものが争点になります。口座を1つ申告し忘れれば、そのまま申告漏れになります

相続人が把握していない口座、被相続人が使っていた家族名義の口座、引き出された現金などが典型です。評価の争いは金額の増減で済みますが、財産の計上漏れは全額が加算されます。影響の大きさが違います。

有価証券が3割を占めている

有価証券の構成比は29.1%で、土地の2倍以上です。金額では837億円になります。ネット証券の口座は通帳が届かないため、相続人が存在に気づかないまま申告してしまうことがあります。

単元未満株、未収配当金、配当期待権なども見落とされやすい項目です。証券会社からの通知が郵送で届かない口座ほど危険です

重要ポイント:被相続人のメールや取引アプリを確認し、証券口座の有無を洗い出してください。残高証明書は各社に個別に請求する必要があります。

贈与税の調査は83.4%が無申告事案

相続税の調査では、生前の贈与についても同時に確認されます。贈与税単独の調査も行われています。

令和6事務年度の贈与税の実地調査は2,778件で、そのうち無申告事案が83.4%(2,154件)を占めました。有申告は16.6%(428件)です。

財産別の非違件数を見ると、現金・預貯金等が62.9%(1,754件)で最多です。有価証券14.2%、土地2.8%と続きます。

区分 件数 割合
無申告事案 2,154件 83.4%
有申告事案 428件 16.6%

表の見方:贈与税の調査で問題になるのは、申告内容の誤りよりそもそも申告していなかったケースです。8割超がこれに当たります。

財産別の非違件数を見ると、贈与税でも現金・預貯金が突出しています。

財産の種類 非違件数 割合
現金・預貯金等 1,754件 62.9%
有価証券 397件 14.2%
土地 77件 2.8%
家屋 27件 1.0%
その他 533件 19.1%

表の見方:相続税と同じく、贈与税でも指摘の中心は現金・預貯金です。土地や家屋は合わせても3.8%にとどまります

重要ポイント:年110万円を超える贈与を受けたのに申告していない場合、相続の際に一括して指摘されます。贈与税の1件あたり追徴税額は443万円です。

参照元:国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合

贈与が何年前までさかのぼって加算されるかは、下記の記事で解説しています。

税務署はどうやって選ぶのか|KSKシステムと資料情報

調査対象は、担当者の勘で選ばれているわけではありません。蓄積されたデータをもとに絞り込まれています。申告書を提出する前から、税務署は被相続人の収入と財産のおおよそを把握しています。ここでは、選定に使われている仕組みと情報源を解説します。

KSKシステムで何が把握されているか

KSKシステムは国税総合管理システムの略称で、全国の国税局と税務署をネットワークで結ぶ仕組みです。ここには納税者ごとの申告状況、納税の事績、収集された各種資料情報が一元的に蓄積されています。

相続が発生すると、被相続人が生前どれだけ稼ぎ、いくら納税してきたかが即座に照会できます。この記録と提出された申告書を突き合わせ、財産が少なすぎないかが機械的に確認されます。

支払調書・登記情報という情報源

KSKに集まる情報は、申告書だけではありません。金融機関や法務局などから自動的に届く資料があります。

情報源 分かること
生命保険金等の支払調書 誰がいくら保険金を受け取ったか
不動産の登記情報 所有していた不動産と過去の売買
証券会社の支払調書 配当や株式の売却代金
国外送金等調書 100万円超の海外送金・受金
過去の所得税の申告 生前の収入と資産形成の経緯

表の見方:これらは相続人が申告しなくても税務署に届きます。保険金や不動産の売却代金の申告漏れはすぐに判明します

重要ポイント:海外資産についても、租税条約に基づく情報交換で把握が進んでいます。令和6事務年度の海外資産関連事案の実地調査は1,359件でした。

収入と財産のギャップが機械的に検出される

データが蓄積されているため、収入と財産の食い違いは自動的に浮かび上がります。生前に高額の所得があったのに申告財産が少ない、不動産を売却したのに対応する資産がない、といったパターンです。

富裕層だけが対象という時代ではなくなっています。中間層でも食い違いがあれば検出されます。だからこそ、財産額の大小より「説明がつくか」が判断を分けることになります。

相続人自身の資産も確認される

調査で見られるのは被相続人の財産だけではありません。相続人の収入と資産も確認されます。収入に見合わない預貯金や有価証券があれば、被相続人から流れた財産ではないかと疑われます。

専業主婦の口座に多額の残高がある、学生の孫名義に数百万円があるといった状態は、資金の出所を説明できなければ名義預金と判定されます

そのため調査では、相続人の職歴や実家の状況まで質問されることがあります。プライバシーの侵害ではなく、資金の裏付けを確認する手続きです。相続人が過去に住宅取得等資金の贈与を受けている場合、その申告の有無も同時に確認されます。

重要ポイント:申告の準備段階で、相続人自身の口座についても資金の出所を整理しておいてください。答えられないと、その場で名義預金の疑いが立ちます。

「相続税についてのお尋ね」が届く段階

一定の財産がある人については、相続開始から数か月後に「相続税についてのお尋ね」という書類が届くことがあります。これは申告漏れを事前に防ぐための接触で、税務調査ではありません。回答して申告が不要なら、それで終わります。

ただしお尋ねが届いた時点で、税務署は一定の財産があると見込んでいます。無視すると次の段階に進みます。

参照元:国税庁 No.4102 相続税がかかる場合

お尋ねが届いたときの対応は、下記の記事で解説しています。

一般家庭でも調査される?遺産5,000万〜1.5億円の層が知っておくこと

「うちは資産家ではないから関係ない」と考える人は多くいます。しかし統計はそれを支持しません。相続税の申告をした時点で、亡くなった人の上位10.4%に入っています

ここでは、遺産5,000万〜1.5億円の層が実際にどういう立場にあるのかを数字で確認します。

課税割合10.4%=申告する時点で上位1割

令和6年分の被相続人数は1,605,378人で、そのうち相続税の申告をしたのは166,730人でした。課税割合は10.4%です。前年の9.9%から0.5ポイント上がり、基礎控除が引き下げられた平成27年分以降で最高になりました。

つまり相続税の申告が必要になった時点で、すでに一般的とは言えない水準です。「一般家庭だから調査されない」という前提そのものが、統計と合っていません。

被相続人1人あたりの課税価格は5,070万円

申告した166,730人の課税価格の総額は23兆3,846億円でした。1人あたりに直すと5,070万円です。一方、実地調査1件あたりの申告漏れ課税価格は3,093万円でした。

平均的な申告額の6割に相当する漏れが、調査で見つかっている計算になります

指標 金額 意味
被相続人1人あたりの課税価格 5,070万円 申告した家庭の平均的な規模
実地調査1件あたりの申告漏れ 3,093万円 調査で見つかっている漏れの平均
実地調査1件あたりの追徴税額 867万円 実際に追加で払う金額の平均

表の見方:調査で見つかる漏れの平均3,093万円は、平均的な申告額5,070万円に対して小さくありません。数億円規模の富裕層だけの話ではないことが分かります

重要ポイント:これらは平均値です。個別の事案では金額が大きく上下しますが、平均が示す規模感は判断の材料になります。

この層でとくに問題になるのは名義預金と使途不明金

数億円規模の相続では、非上場株式や海外資産の評価が主な争点になります。これに対し、5,000万〜1.5億円の層で問題になるのは、ほとんどが名義預金と使途不明金です。

配偶者名義の預金、子や孫の名義で積み立てた口座、入院中に引き出した現金といった、どの家庭にもある論点が指摘の中心になります。財産の種類が少ないぶん、1つの口座の扱いが結果を大きく左右します。

自分で申告した場合のリスク

この層は税額もそれほど大きくないため、税理士に依頼せず自分で申告する人も少なくありません。しかし名義預金の判定、土地の評価、小規模宅地等の特例の要件は、独学で正確に処理するのが難しい領域です。

特例の適用を誤れば税額が大きく変わります。申告書に税理士の署名がないこと自体も、確認の対象になります。次の項目を確認しておくと、自分の申告のリスクが把握できます。

  • □ 被相続人名義の口座をすべて洗い出したか(休眠口座・ネット銀行を含む)
  • □ 証券口座の有無を確認したか(ネット証券・単元未満株を含む)
  • □ 家族名義の口座について、資金の出所を説明できるか
  • □ 亡くなる前1年間の大きな出金の使途を説明できるか
  • □ 生前贈与について契約書と振込記録が残っているか
  • □ 生命保険金・死亡退職金を申告に含めたか
  • □ 土地の評価の根拠資料を保管しているか

重要ポイント:チェックが外れた項目は、そのまま調査で問われる項目です。申告前に埋められるものは埋めておいてください

自分で申告できるかの判断基準は、下記の記事で解説しています。

税務調査で指摘されやすい申告ミス

調査で指摘される内容には偏りがあります。多くは意図的な隠ぺいではなく、判断の誤りや見落としです。重加算税の対象は非違件数の13.6%にとどまり、残りは「漏れた」「誤った」ケースです

ここでは、実際に指摘が集中する5つの申告ミスを解説します。

名義預金・名義株の申告漏れ

最も多いのが名義預金の指摘です。家族名義でも実質的な所有者が被相続人なら、相続財産に含めます。判定は、資金の出所・口座の管理者・名義人が自由に使えたかで行われます。名義だけでは決まりません。

専業主婦の名義に数千万円、孫名義の口座に多額の残高があるといったケースは、資金の出所を説明できなければ相続財産に加算されます。名義株も同様です。同族会社の株式を家族名義にしている場合は、取得資金と配当の受領者が確認されます。

名義預金の判定基準は、下記の記事で解説しています。

生前贈与加算の漏れ

相続人が被相続人から一定期間内に受けた贈与は、相続財産に加算して相続税を計算します。2024年1月以降の贈与から、加算期間が3年から7年へ段階的に延長されました。完全に7年になるのは2031年1月以降の相続からです。

年110万円以下で贈与税がかからなかった贈与も、加算の対象になります。非課税だったことと加算されないことは別です。贈与を受けた本人が忘れているケースも多く、通帳を突き合わせた段階で判明します。

参照元:国税庁 No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)

土地の評価額の誤り

土地の評価は、路線価に地積を乗じたうえで、形状や利用状況に応じた補正を行います。補正を適用しすぎれば過小評価、適用しなければ過大評価になります。どちらも実務では起こります。

貸家建付地の減額、私道の扱い、地積規模の大きな宅地の評価などは判断が分かれる論点です。

重要ポイント:評価の誤りは悪意がなくても指摘されます。評価の根拠と計算過程を書面で残しておくことが、説明の材料になります。

小規模宅地等の特例の適用要件の誤認

小規模宅地等の特例は、要件を満たせば土地の評価額を最大80%減額できる制度です。減額幅が大きいぶん、要件の確認は厳格に行われます。同居の実態、申告期限までの保有継続、事業の継続などが対象です。

要件を満たさないと判断されれば、減額分がまるごと課税価格に戻ります。税額への影響が最も大きい論点です。

参照元:国税庁 No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)

特例の要件と誰が相続すると得かは、下記の記事で解説しています。

生命保険金・死亡退職金の非課税枠の計算ミス

生命保険金と死亡退職金には、それぞれ「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があります。この枠は保険金と退職金で別々に使えます。まとめて1回分しか使えないと誤解すると、税額を多く払うことになります。

逆に、契約者と被保険者と受取人の関係によっては、相続税ではなく所得税や贈与税の対象になる場合もあります。保険金の支払調書は税務署に届くため、申告漏れはすぐに判明します

生命保険金の申告要否は、下記の記事で解説しています。

債務・葬式費用の控除の誤り

債務と葬式費用は相続財産から差し引けますが、対象になるものとならないものが分かれます。被相続人が負っていた借入金や未払いの医療費・税金は控除できます。一方、団体信用生命保険で完済される住宅ローンは控除できません。

葬式費用では、通夜と告別式の費用やお布施は対象ですが、香典返し・初七日以降の法要・墓石の購入費用は対象外です。控除できないものを含めていれば課税価格が過小になり、指摘の対象になります。領収書の保管とあわせて区分の確認が必要です。

重要ポイント:葬儀社の請求書には対象と対象外が混在しています。明細単位で仕分けし、根拠を残しておいてください。

債務控除の対象になるものは、下記の記事で解説しています。

選ばれにくくする準備と、連絡が来たときの対応

調査を確実に避ける方法はありません。しかし、選ばれにくくすることと、来たときの負担を抑えることはできます。鍵になるのは、申告内容に説明できない部分を残さないことです

ここでは申告前・申告時・連絡が来たときの3段階で、実際にできることを解説します。

申告前にやること

申告前の準備が結果をほぼ決めます。時系列で整理すると次のようになります。

STEP1
口座をすべて洗い出す。取引のあった金融機関に残高証明書と過去10年分の取引履歴を請求する。ネット銀行・ネット証券も忘れずに確認する

STEP2
大きな出金の使途を確認する。医療費・介護費・リフォームなどの領収書を集め、いつ何に使ったかを一覧にする

STEP3
家族名義の口座を点検する。資金の出所・管理者・名義人が使えたかを整理し、名義預金に当たるかを判断する

STEP4
評価の根拠を書面で残す。土地の評価に使った路線価・補正率・計算過程を記録し、申告書の控えと一緒に保管する

重要ポイント:STEP1〜4はいずれも「後から説明できる状態」を作る作業です。調査で問われるのはここです。

贈与の証拠を残す

生前贈与は、証拠がなければ贈与として認められません。名義預金と判定される最大の原因がここです。贈与のたびに契約書を作り、銀行振込で記録を残し、通帳と印鑑は受け取った側が管理します。

年110万円以下で申告が不要な贈与でも、証拠は必要です。申告義務と立証責任は別の話です。

注意:毎年同じ金額を同じ時期に渡し続けると、定期贈与と判断されるおそれがあります。金額と時期は年ごとに変えてください。

書面添付制度を使う

書面添付制度は、税理士が申告書の作成にあたって確認した内容を書面にして添付する制度です。添付があると、税務署は実地調査の前に税理士から意見を聴取します。そこで疑問が解消すれば、実地調査に至らないことがあります。

この制度は税理士しか利用できません。依頼する際に、書面添付を付けてもらえるかを確認してください。事務所によって標準対応か別料金かが分かれます。見積りの段階で確認しておくと比較しやすくなります。

連絡が来たときの流れ

実地調査は、原則として事前に通知があります。通知では調査の日時・場所・対象となる税目や期間が伝えられます。日程は調整できます。資料が揃っていない状態で当日を迎えるより、準備してから受けるほうが結果はよくなります。

当日は事実にもとづいて簡潔に答えます。分からないことを推測で答えると、後で訂正が必要になります。資料の持ち帰りを求められたら、預かり証を受け取り、控えを残しておきます。

事前通知の内容と当日までの準備は、下記の記事で解説しています。

調査でどこまで調べられるかは、下記の記事で解説しています。

当日の対応で守る3つの原則

実地調査の当日は、答え方によって結果が変わります。守るべき原則は3つです。

【原則1】分からないことは推測で答えない

記憶があいまいなまま答えると、後から訂正が必要になります。確認して回答すると伝えれば問題ありません。

【原則2】聞かれたことにだけ答える

不安から先回りして説明すると、確認予定になかった論点が増えます。質問の範囲で簡潔に答えます。

【原則3】資料を渡すときは控えと預かり証を残す

持ち帰りを求められた資料は、必ず控えを取り、預かり証を受け取ってから渡します。

調査官の質問には、被相続人の職歴や趣味など税額と直接関係しないものも含まれます。財産形成の経緯を確かめるための質問なので、事実どおりに答えて問題ありません

重要ポイント:税理士が立ち会っていれば、質問の意図を確認しながら進められます。立会いを依頼できるかは、契約時に確認しておいてください。

申告後に気づいたら自主的に修正申告する

申告後に漏れに気づいた場合、調査の連絡が来る前に修正申告すれば、加算税の負担が軽くなります。調査の事前通知を受けた後でも、実地調査が始まる前なら軽減されます。気づいた時点で早く動くほど負担は小さくなります

放置しても時効で消えることは期待できません。無申告事案の追徴税額は1件あたり2,187万円です。

参照元:国税庁 No.2026 確定申告を間違えたとき

修正申告のやり方と負担の違いは、下記の記事で解説しています。

相続税の税務調査の相談は相続税の対応実績がある税理士へ|一括相談・見積り

税務調査は、申告の段階で結果がほぼ決まります。相続税の対応実績がある税理士なら、指摘されやすい論点を申告前に潰し、書面添付で実地調査そのものを回避できる可能性があります。複数の税理士に一括で相談し、対応内容を比較して選ぶのが確実です。

相続税の対応実績がある税理士が必要な理由

調査で問われるのは、名義預金の判定や土地の評価といった判断の分かれる論点です。経験のない税理士では、根拠を示して反論できません

相続税の対応実績がある税理士が必要な理由

  • 書面添付制度を使い、意見聴取の段階で疑問を解消できる
  • 名義預金に当たるかどうかを申告前に判定できる
  • 土地の評価の根拠を書面で残し、後から説明できる状態にできる
  • 使途不明金について、説明の組み立て方を助言できる
  • 調査当日に立ち会い、想定外の質問に対応できる
  • 指摘に対して、法令と通達にもとづいて反論できる

負担の差は具体的です。文書や電話の段階で終われば1件あたり63万円ですが、実地調査になると867万円になります。その差は804万円です。申告の質がこの分岐を左右します。

税理士を比較するときの3つの判定ポイント

相続税に対応している税理士でも、調査への備え方には差があります。見積りや初回相談で次の3点を比べてください。「書面添付を標準で付けるか・名義預金を申告前に判定するか・立会実績と報酬が明記されているか」の3点で見分けられます

判定ポイント1:書面添付を標準で付けるか
「標準で付けます」か「別料金です」か「対応していません」かを確認します。→ 標準で付ける税理士のほうが、調査を前提にした申告書を作っていると判定できます。

判定ポイント2:名義預金を申告前に判定するか
家族名義の口座について、資金の出所と管理状況を確認する手順があるかを見ます。→ 事前に判定する税理士のほうが、後から指摘される確率を下げられると判定できます。

判定ポイント3:立会実績と立会報酬が見積りに明記されているか
調査に立ち会った件数と、立会いが発生した場合の報酬が書かれているかを確認します。→ 明記している税理士のほうが、調査対応まで想定していると判定できます。

相談しないまま進めるリスク

自己判断で申告すると、後から取り返しがつかない負担になることがあります。とくに無申告のまま調査を受けると、1件あたり2,187万円が追徴されています。具体的には次のようなリスクがあります。

相談せずに進めた場合のリスク

  • 申告義務に気づかず無申告のまま調査を受け、1件あたり2,187万円を追徴される
  • 家族名義の口座が名義預金と判定され、相続財産に加算される
  • 小規模宅地等の特例の要件を満たさず、減額分がまるごと課税価格に戻る
  • 土地の評価の根拠が残っておらず、指摘に反論できない
  • 財産を隠したと認定され、重加算税の対象になる
  • 書面添付を使わないまま実地調査に進み、負担が13.8倍になる

これらの多くは、申告前の点検で防げます。相談は無料のことが多く、申告期限まで時間があるほど選択肢が広がります。

一括相談・見積りの手順|STEP1〜STEP4

実際に一括相談・見積りを利用する流れは次の4ステップです。フォームの記入自体は5分ほどで終わります。申告期限は相続開始から10か月です。早い段階で相談してください

STEP1
相続の概要を整理する。被相続人の資産内容と概算額・相続人の構成と年齢・遺言の有無・すでに申告済みかどうかをまとめる

STEP2
一括見積り・相談サービスに依頼する。相続税申告・書面添付・税務調査対応などの希望内容を明記し、相続税の対応実績がある税理士3〜5社へ同時に打診する。不動産があれば所在地と広さも伝える。財産の種類や相続人の人数はできるだけ正確に記入する(記入は5分程度)

STEP3
各税理士から「提案内容」「試算した相続税額」「報酬額」が記載された見積りが届く。書面添付の有無と立会報酬もあわせて確認し、気になる事務所と初回相談を行う

STEP4
「提案内容の質」「説明の丁寧さ」「報酬の納得性」で最適な事務所を選び、正式に依頼する。相続開始から7か月以内に決めると申告まで余裕が持てる

重要ポイント:見積りを比べるときは報酬額だけで決めないでください。書面添付の有無と立会報酬まで含めて比較すると、実際の負担が見えてきます。

税理士に相談できることの範囲は、下記の記事で解説しています。

よくある質問(FAQ)

Q1. 相続税の税務調査はいくら以上の財産で来ますか?

財産がいくら以上なら調査するという基準を国税庁は公表していません。財産規模別の調査率も公表されておらず、他サイトの「1億円未満なら3%」といった数字は各社の推計値です。公表値から分かるのは、実地調査1件あたりの申告漏れが3,093万円だということです。

Q2. 一般家庭でも税務調査の対象になりますか?

なります。令和6年分の課税割合は10.4%で、申告をした時点で亡くなった人の上位1割です。申告した家庭の課税価格は1人あたり平均5,070万円で、調査ではその6割に当たる3,093万円の申告漏れが見つかっています。富裕層だけの話ではありません。

Q3. 税務調査に選ばれる確率はどのくらいですか?

令和6事務年度の実地調査は9,512件で、令和6年分の申告件数166,730人に対して約5.7%です。簡易な接触21,969件を含めると約18.9%になります。サイトごとに5%から20%まで違うのは、簡易な接触を含めるかどうかの差です。

Q4. 税務調査で指摘されたらいくら払うことになりますか?

令和6事務年度は、簡易な接触が1件あたり63万円、実地調査が867万円、無申告のまま調査を受けた場合が2,187万円でした。実地調査では82.3%で申告漏れが指摘されています。ただし重加算税の対象は非違件数の13.6%にとどまります。

Q5. 申告漏れが多いのはどんな財産ですか?

令和6事務年度の申告漏れ相続財産2,879億円のうち、現金・預貯金等が43.3%、有価証券が29.1%で、合わせて72.4%を占めます。土地は13.6%、家屋は1.7%にとどまります。不動産より、預貯金と証券口座をすべて洗い出せているかのほうが重要です。

まとめ|税務調査は財産額だけでは決まらない

選ばれやすい家庭の特徴

  • 遺産総額が基礎控除を大幅に超えている
  • 生前の収入に対して申告された金融資産が少ない
  • 相続開始直前に使途の説明できない出金がある
  • 家族名義の預貯金や有価証券が多額にある
  • 土地や非上場株式など評価が複雑な財産がある

数字で押さえておくこと

  • 財産額の下限は公表されていない。金額と生活実態の食い違いで選ばれる
  • 実地調査は申告件数の約5.7%、簡易な接触を含めると約18.9%
  • 実地調査に入られると82.3%で申告漏れが指摘される
  • 1件あたりの追徴税額は簡易な接触63万円・実地調査867万円・無申告2,187万円
  • 申告漏れの72.4%は現金・預貯金と有価証券で、土地は13.6%

今すぐ取るべき行動

  • 被相続人名義の口座と証券口座をすべて洗い出す(ネット銀行・ネット証券を含む)
  • 亡くなる前の大きな出金について、使途を説明できる資料を集める
  • 家族名義の口座について、資金の出所と管理者を整理する
  • 申告前に、複数の税理士へ一括相談・見積りを依頼し、書面添付の対応を比較する

※本記事は2026年8月時点の法令・公表資料に基づいて作成しています。統計は国税庁「令和6事務年度における相続税の調査等の状況」および「令和6年分 相続税の申告事績の概要」によります。最新の制度は国税庁の情報や相続税の対応実績がある税理士にご確認ください。

相続税
強い税理士
対応します
どちらの比較を希望しますか?
最大5事務所比較|しつこい営業なし|全国対応

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!