土地の贈与税はいくら?評価額の計算方法と非課税にする制度・手続きを解説

土地_贈与税_手続き

土地を無償でもらうと、もらった人に贈与税がかかります。親から子への名義変更も、税務上は「土地の贈与」として扱われます。

贈与税の計算に使うのは、実際の売買価格ではなく「相続税評価額」です。路線価方式または倍率方式で計算し、実勢価格の8割程度になるのが一般的です。

土地は高額な財産のため、何も対策せずに一括で贈与すると、税率は最高55%に達します。評価額2,000万円の土地なら、贈与税は500万円を超えます。

一方で、相続時精算課税を使えば2,500万円まで贈与税ゼロにでき、住宅取得資金の特例は土地の先行取得にも使えます。制度しだいで負担は大きく変わります。

さらに、土地には「贈与しない」選択肢もあります。親の土地に子が家を建てる場合、使用貸借という形なら贈与税は一切かかりません。

逆に、分筆や共有持分の変更など、贈与のつもりがなくても課税される土地特有の落とし穴も存在します。

本記事では、土地の評価額の計算方法と評価額別の早見表、贈与税を非課税にする4つの制度、使用貸借という第3の選択肢を解説します。

▼ この記事の3行まとめ

  • 土地の贈与税は「評価額-110万円×税率」で計算。評価額は路線価×面積で概算でき、実勢価格の8割程度
  • 親子間なら相続時精算課税で2,500万円まで贈与税ゼロ。家を建てるだけなら使用貸借で課税なしの道もある
  • 登録免許税・不動産取得税を含めた総コストでは相続が安いことが多い。渡し方の比較が必須
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結論|土地の贈与税は評価額で決まる。「もらう・借りる・待つ」で考える

最初に全体像を示します。土地の承継は贈与だけでなく、使用貸借・相続を含めた3つの選択肢で比較するのが鉄則です

税額を決めるのは「評価額×関係性×制度」

土地の贈与税は、次の3つの要素の組み合わせで決まります。

  • ・評価額:路線価方式などで計算する税法上の価値(実勢価格の8割程度)
  • ・関係性:親から18歳以上の子なら低い特例税率、兄弟間などは一般税率
  • ・制度:相続時精算課税などの特例を使えるかどうか

同じ土地でも、組み合わせしだいで贈与税は数百万円にもゼロにもなります

「土地をもらったらいくら?」の答えは一律ではなく、まず評価額を計算するところから始まります。

幸い、土地の評価額は路線価×面積で誰でも概算できます。この記事を読みながら、自分の土地の数字を当てはめてみてください。

重要ポイント:試算の前に名義変更(登記)を済ませてしまうと、税額に驚いても取り消せません。「試算が先、登記は後」を徹底してください。

3つの選択肢|贈与・使用貸借・相続

親の土地を子が使いたい場面では、名義を移す贈与だけが答えではありません。

  • ・贈与:今すぐ名義を移す。贈与税+登記コストがかかる
  • ・使用貸借:名義は親のまま、無償で借りて使う。税金はかからない
  • ・相続:親が亡くなったときに引き継ぐ。登記コスト最安・特例も豊富

特に「親の土地に家を建てたい」だけなら、贈与を受けなくても使用貸借で目的を果たせ、贈与税は1円もかかりません

実際、親の土地に子が家を建てるケースの多くは、贈与ではなく使用貸借の形で行われています。

目的が「使うこと」なのか「名義を持つこと」なのかで、最適な選択肢は変わります。

本記事の前半で贈与のコストを、中盤で使用貸借を、終盤で相続との比較を扱います。3つを見比べてから決めても遅くありません。

重要ポイント:使用貸借の詳細は後の章で解説します。「贈与ありき」で検討を始めると、払わなくてよい税金を払うことになりかねません。

建物もセットの場合は「家の贈与」の視点も

土地の上に建物があり、建物ごともらう場合は、建物側の評価と税金も加わります。

建物は固定資産税評価額で評価し、土地とは別の財産として贈与税を計算します。同じ年に両方もらえば、合算して1回の贈与税計算です。

「評価額の低い建物だけ先に贈与し、土地は相続で」という組み合わせ設計も実務ではよく使われます

家(建物)の贈与税の計算と特例は、下記の記事で解説しています。

土地の贈与にかかる3つの税金

土地の贈与では、贈与税以外の税金も発生します。「贈与税・登録免許税・不動産取得税」の3点セットで総額を見積もりましょう

税金1|贈与税(もらった人が翌年に納付)

中心となるのが贈与税です。納税義務があるのは、土地をあげた人ではなく「もらった人」です。

1年間にもらった財産の合計から基礎控除110万円を引いた額に、10〜55%の累進税率がかかります。

土地のような高額財産では、評価額のほぼ全体が課税対象になり、税率も高い帯域が適用されがちです

現金の贈与のように「基礎控除の範囲で少しずつ」がやりにくいのが、土地という財産の性質です。だからこそ制度選びが重要になります。

申告と納税の期限は、もらった年の翌年2月1日から3月15日まで。土地という現物をもらっても、税金は現金で納める必要があります。

納税資金が用意できないなら、贈与を受けるべきかから考え直す必要があります。土地はもらった瞬間から固定資産税の負担も始まります。

税金2|登録免許税(贈与は相続の5倍)

名義変更(所有権移転登記)の際に、登録免許税がかかります。

贈与の税率は固定資産税評価額の2.0%です。評価額2,000万円の土地なら40万円になります。

相続なら0.4%で済むため、贈与は相続の5倍の登記コストがかかる計算です

登記の申請時に納めるため、贈与税より先に資金が必要になる点にも注意してください。

登録免許税は贈与税と違って軽減の特例がなく、精算課税で贈与税をゼロにしても丸ごと残るコストです。

参照元:国税庁 No.7191 登録免許税の税額表

税金3|不動産取得税(宅地は2027年3月末まで軽減中)

贈与で土地を取得すると、都道府県から不動産取得税が課されます。相続なら非課税ですが、贈与では課税される税金です。

税率は原則4%ですが、2027年3月31日までの取得なら3%に軽減されています。

さらに宅地については、課税標準(固定資産税評価額)を2分の1にする特例も2027年3月31日まで適用されます

評価額2,000万円の宅地なら「2,000万円×1/2×3%=30万円」が目安です。軽減の期限は延長を繰り返してきた経緯があるため、実行時点の最新情報も確認してください。

納税通知書は登記から数ヶ月後に届きます。「忘れた頃に来る税金」として、資金を残しておきましょう。

住宅用の土地には別途の軽減措置もあり、要件を満たすのに通知額が軽減前なら、都道府県税事務所への申告で減額できることがあります。

計算ロジック:不動産取得税=固定資産税評価額×1/2×3%(宅地・2027年3月31日までの取得)。例:評価額2,000万円の宅地=2,000万円×1/2×3%=30万円(2026年時点)。

贈与税がかからない名義変更もある

土地の名義変更がすべて贈与税の対象になるわけではありません。移す「原因」によって、かかる税金は変わります。

  • ・適正な時価での売買:対価がある取引は贈与ではない(売主に譲渡所得税)
  • ・相続・遺贈:贈与税ではなく相続税の対象
  • ・離婚に伴う財産分与:過大でなければ原則非課税
  • ・110万円以下の持分の贈与:基礎控除内なら申告も不要

「名義変更=贈与税」ではなく、どの原因で移すかを選べる場面では、税金の合計が軽いルートを設計できます

逆に、対価のない名義変更は原因を問わず贈与と扱われるのが原則です。「名義を貸すだけ」「形だけ変える」という理屈は通りません。

迷ったら「お金を払わずに名義が動くか」で判定してください。動くなら、原則として誰かに贈与税の問題が生じています。

重要ポイント:親の土地を子名義で買ったことにする、子の口座に売買代金の記録だけ作る、といった偽装は、税務署の「お尋ね」と資金源調査で高確率で発覚します。

その他の費用|契約書・司法書士報酬

税金のほかに、手続きの実費もかかります。

  • ・印紙税:金額の記載がない贈与契約書は200円
  • ・司法書士報酬:登記を依頼する場合5〜10万円程度
  • ・書類取得費:登記事項証明書・評価証明書などで数千円

贈与契約書は、税務署への説明資料であると同時に、登記の根拠にもなる必須書類です。口約束で済ませず、必ず作成してください。

口約束だけの贈与は、贈与者が亡くなった後に他の相続人から否定され、土地が遺産分割の対象に戻るリスクも抱えます。

重要ポイント:土地の贈与の総コスト=贈与税+登録免許税+不動産取得税+手続き費用。「贈与税がゼロだから無料」ではない点を押さえておきましょう。

土地の評価額の計算方法|路線価方式と倍率方式

贈与税計算の出発点が評価額です。土地の評価は「路線価方式」か「倍率方式」のどちらかで計算し、自分でも概算できます

路線価方式|市街地の土地はこちら

市街地の土地は、道路ごとに定められた「路線価」をもとに評価します。計算式は「路線価×土地の面積」です。

たとえば路線価15万円/㎡の道路に面した200㎡の土地なら、15万円×200㎡=3,000万円が評価額の概算になります。

路線価は毎年7月に国税庁が公表し、実勢価格(時価)の8割程度の水準に設定されています

贈与税の計算には「贈与した年の路線価」を使います。地価上昇が続く地域では、贈与を先送りするほど評価額も上がっていく点は判断材料の1つです。

実際の評価では、土地の形状(不整形・間口が狭いなど)や接道状況に応じた補正が入り、評価額が増減します。

2つの道路に面した角地は加算補正でやや高く、形の悪い土地は減額補正で安くなる、という具合に、同じ面積でも評価は一律ではありません。まずは補正なしの概算で規模感をつかみましょう。

計算ロジック:評価額=路線価×補正率×面積。例:路線価15万円/㎡×200㎡=3,000万円(補正なしの概算)。奥行や形状の補正で1〜2割変わることもあります(2026年時点)。

倍率方式|路線価がない地域はこちら

郊外や農村部など路線価が定められていない地域では、倍率方式で評価します。

計算式は「固定資産税評価額×評価倍率」です。倍率は地域・地目ごとに国税庁が定めており、宅地では1.1倍などが一般的です。

固定資産税評価額が1,000万円で倍率1.1なら、評価額は1,100万円になります。

山林や田畑は宅地と倍率が異なり、地目ごとに確認が必要です。倍率表には地域・地目別の数値が一覧で載っています。

固定資産税評価額は毎年届く納税通知書(課税明細書)で確認でき、こちらの方式は概算が非常に簡単です

路線価・倍率の調べ方3STEP

路線価と倍率は、国税庁の「財産評価基準書」サイトで誰でも無料で調べられます。

STEP1
国税庁「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」のサイトを開き、贈与する年分と都道府県を選びます

STEP2
路線価図で土地が面する道路の数字を確認します。「150D」なら1㎡あたり15万円という意味です(アルファベットは借地権割合)

STEP3
路線価図に土地が載っていなければ倍率地域です。評価倍率表で地目ごとの倍率を確認し、固定資産税評価額に掛けて概算します

路線価の読み方や補正の詳細は、下記の記事で解説しています。

評価額が下がる土地の特徴

路線価×面積はあくまで基準値です。次のような土地は補正によって評価が下がり、贈与税も安くなります。

  • ・不整形地(三角形・旗竿地など形の悪い土地)
  • ・間口が狭い、奥行が長すぎる・短すぎる土地
  • ・道路との高低差がある、傾斜のある土地
  • ・広すぎる土地(地積規模の大きな宅地の評価減)
  • ・私道部分(通り抜け私道は評価ゼロ、行き止まり私道は3割評価)

補正の適用漏れは「税金の払いすぎ」に直結します。条件の悪い土地ほど、専門家による評価の価値が上がります。

相続税の土地評価と減額要素の詳細は専門の解説に譲りますが、贈与税でも同じ評価方法を使います。

補正には奥行価格補正率表などの公式な基準があり、感覚ではなく数値で計算します。適用できる補正の見極めこそ、税理士の腕の見せどころです。

重要ポイント:「きれいな正方形で大通りに面した土地」以外は、何らかの補正が入る可能性があります。概算と確定値の差が大きくなりやすいのが土地評価の特徴です。

貸している土地は評価が下がる

同じ土地でも、利用状況によって評価額は変わります。人に貸している土地は、自分で使う土地(自用地)より低く評価されます。

  • ・貸宅地(借地人に貸している土地):自用地評価×(1-借地権割合)。借地権割合60%なら4割の評価
  • ・貸家建付地(自分のアパートを建てて貸している土地):自用地評価×約8割前後

賃貸中の土地の贈与は、更地より評価が下がる分だけ贈与税も安くなります

逆にいえば、評価の高い更地のまま贈与するのは、タイミングとして不利になりやすい形です。

賃貸アパートの敷地を建物とセットで贈与する、といった設計では、この評価減が節税の柱になります。

重要ポイント:概算は自分でできますが、補正や利用区分の判定を誤ると税額が大きくずれます。申告に使う確定値は、税理士による評価が安全です。

評価額別シミュレーション|贈与税の早見表

評価額ごとの贈与税を早見表で確認します。暦年課税での一括贈与がいかに重いか、制度でどこまで減るかが一目で分かります

前提条件

【前提】その年の他の贈与はなし。基礎控除110万円のみ適用し、特例は使わない暦年課税の単純計算です

特例税率(親→18歳以上の子)と一般税率(兄弟間など)を並べて比較します。

受贈者が18歳以上かどうかは、贈与した年の1月1日時点で判定します。18歳になる直前の贈与は、年明けまで待つだけで税率が変わることもあります。

早見表|評価額500万〜3,000万円

土地の評価額 特例税率(親→子) 一般税率(兄弟間など)
500万円 48.5万円 53万円
1,000万円 177万円 231万円
2,000万円 585.5万円 695万円
3,000万円 1,035.5万円 1,195万円

表の見方:評価額2,000万円の土地をそのまま贈与すると、親子でも585万円かかります。兄弟間など一般税率では常に1〜2割重くなります

計算ロジック:贈与税=(評価額-110万円)×税率-控除額。例:2,000万円の特例税率=1,890万円×45%-265万円=585.5万円(2026年時点の速算表)。

参照元:国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)

相続時精算課税を使った場合

同じ土地でも、相続時精算課税を選択すると景色が一変します。

土地の評価額 暦年課税(特例税率) 相続時精算課税
1,000万円 177万円 0円
2,000万円 585.5万円 0円
3,000万円 1,035.5万円 78万円

表の見方:精算課税なら2,500万円+年110万円まで贈与税ゼロ。親子間の土地贈与で早見表の税額をそのまま払うのは、制度を知らない場合だけです。ただし相続時に精算される「先送り」である点は後述します。

計算ロジック:精算課税=(評価額-年110万円-累計2,500万円)×20%。例:3,000万円=(3,000万円-110万円-2,500万円)×20%=78万円(2026年時点)。

土地を渡す3ルート比較|現物・買って渡す・現金を渡す

「子に土地を持たせたい」という目的には、実は3つのルートがあります。どの形でも課税の仕方が異なります。

ルート 贈与税の対象 特徴
今ある土地を贈与 評価額(時価の8割程度) 評価差の分だけ現金贈与より有利
親が買って贈与 購入額でなく評価額 評価差は使えるが登記コストが2回分
現金を贈与して子が買う 現金の額面(100%) 住宅取得等資金の特例を使える場合あり

表の見方:同じ3,000万円でも、現金なら3,000万円に、土地なら評価額約2,400万円に課税されます。「土地の形で渡すほうが課税上は有利」が基本ですが、登記コストと特例の使える範囲が違います

マイホーム取得の援助なら、現金ルート+住宅取得等資金の特例(土地の先行取得も対象)が有力です。次章で詳しく解説します。

すでに土地がある場合は、現物の贈与か使用貸借かの二択になります。目的と家族構成に合わせてルートを選んでください。

贈与税を非課税にする・安くする4つの制度

土地の贈与税は、制度の選択で大きく変わります。4つの制度の非課税枠と、土地ならではの注意点を確認しましょう

制度1|相続時精算課税|土地贈与の主力

60歳以上の父母・祖父母から18歳以上の子・孫への贈与なら、相続時精算課税を選択できます。

累計2,500万円まで贈与税がかからず、2024年からは年110万円の基礎控除も加わりました。超えた部分も一律20%です。

贈与された土地は贈与時の評価額で相続財産に加算されるため、「非課税」ではなく「課税の先送り」です。

それでも、値上がりが見込まれる土地なら評価額を今の水準で固定でき、賃貸収益のある土地なら収益を早く子へ移せる、という実利があります。

相続税は基礎控除が大きく税率も緩やかなため、精算の結果としても、暦年課税で一括贈与するよりトータルの負担は大幅に軽くなるのが通常です。

注意:精算課税で贈与した土地には、相続時に小規模宅地等の特例(自宅の土地は評価8割減)が使えません。自宅の敷地や事業用地の贈与は、特例を失う損失と比較してから決めてください。一度選択すると暦年課税には戻れません。

参照元:国税庁 No.4103 相続時精算課税の選択

制度2|住宅取得等資金の特例|土地の先行取得にも使える

親や祖父母から住宅取得の資金をもらう場合、省エネ等住宅で1,000万円、それ以外で500万円まで非課税になる特例があります。

あまり知られていませんが、この特例は「家を建てるための土地の先行取得」の資金にも使えます

ただし条件があります。資金をもらった翌年3月15日までに、その土地の上に住宅が完成(少なくとも棟上げ)している必要があります。

注意点として、対象は「資金(お金)」の贈与だけです。土地そのものをもらう場合には使えません。

「親から土地代を出してもらって自分で買う」なら使える、「親の土地をもらう」なら使えない。この区別を間違えないでください。

省エネ基準・床面積・受贈者の所得制限(原則2,000万円以下)などの要件もあるため、適用前提の資金計画は要件確認を先に済ませましょう。

参照元:国税庁 No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税

制度3|おしどり贈与|夫婦間の居住用の土地

婚姻期間20年以上の夫婦間で、居住用不動産(またはその購入資金)を贈与する場合、2,000万円の配偶者控除が使えます。

基礎控除と合わせて2,110万円まで非課税で、自宅の敷地だけを配偶者へ贈与する形でも適用できます

この特例で贈与した分は、相続開始前7年以内の贈与でも相続財産への加算対象になりません。配偶者の住まいを守る対策として使われる理由です。

同じ夫婦間で一生に一度しか使えず、贈与税ゼロでも申告は必須です。

配偶者は相続でも1億6,000万円までの税額軽減が使えるため、おしどり贈与が本当に得かは、相続まで含めた比較で判断してください。

それでもこの特例が使われるのは、「配偶者の住まいを生前に確定させる」「自宅を渡して相続財産を減らす」という明確な目的がある場合です。

制度4|暦年贈与×持分の分割贈与|費用倒れに注意

土地の持分を毎年110万円分ずつ贈与すれば、理論上は無税で移転できます。

ただし、贈与のたびに登記が必要で、登録免許税と司法書士報酬が毎年かかります。節税額を登記コストが食いつぶす「費用倒れ」になりやすい方法です

「最初から全部あげる約束」とみなされると、定期贈与として一括課税されるリスクもあります。

また、2024年からは相続人への贈与の加算期間が7年に延び、長期の分割贈与は終盤の数年分が相続財産に戻される可能性が高まりました。

実行するなら、毎年独立した契約書を作り、まとまった持分(数百万円分)を数年で移すなど、コストと効果のバランス設計が必須です。

110万円ちょうどにこだわらず、あえて基礎控除を少し超える贈与をして少額の贈与税を申告し、記録を残す方法も実務では使われています。

重要ポイント:4制度のうち、土地の現物贈与に使えるのは精算課税・おしどり贈与・暦年贈与の3つです。住宅取得等資金の特例だけは「お金」専用と覚えてください。

4制度の比較表|土地の贈与で使えるのはどれか

制度 非課税枠 使える関係 土地の現物贈与
相続時精算課税 2,500万円+年110万円 60歳以上の親・祖父母→18歳以上の子・孫 ◎ 主力
住宅取得等資金 500万〜1,000万円 親・祖父母→18歳以上の子・孫 × 資金のみ(先行取得は可)
おしどり贈与 2,000万円+110万円 婚姻20年以上の夫婦 ◎ 居住用の敷地も可
暦年贈与(持分) 年110万円 誰でも △ 登記費用に注意

表の見方:土地そのものを渡す主力は精算課税です。兄弟間ではこの表の制度がすべて使えず、基礎控除110万円しか残りません。兄弟間の土地移転は売買や遺贈も含めた比較が必要です。

使用貸借という第3の選択肢|親の土地に家を建てるなら贈与不要

「親の土地に家を建てたい」なら、贈与を受ける必要はありません。無償で借りる「使用貸借」なら、贈与税は一切かからず今すぐ使えます

使用貸借なら贈与税ゼロの仕組み

使用貸借とは、タダ(無償)で物を貸し借りする契約です。親の土地を無償で借りて子が家を建てるのは、この使用貸借にあたります。

他人の土地を借りて建物を建てる場合、通常は権利金や地代を払い、借地権という財産的価値が生まれます。

しかし親子間の使用貸借では、借りる権利の価値はゼロとして扱われ、権利金を払わなくても贈与税はかかりません

名義は親のまま、登記も不要、贈与税も登録免許税も不動産取得税もゼロ。「使う」だけが目的なら、これで完結します。

契約書は法律上は不要ですが、使用貸借の事実と範囲を明確にするため、簡単な使用貸借契約書を交わしておくと、後の相続時にも説明がしやすくなります。

注意:逆に、子が親へ地代や権利金をきちんと払う「賃貸借」にすると、借地権の課税問題が生じることがあります。親子間では「完全に無償(固定資産税程度の負担までは可)」がもっともシンプルで安全です。

使用貸借のデメリット|相続時は減額なしの評価

使用貸借にも税務上の弱点があります。相続時の土地評価です。

使用貸借で貸している土地は、貸宅地のような評価減がなく、相続時には自用地として100%の評価で課税されます

また、その土地はいずれ相続財産として遺産分割の対象になります。家が建っている土地を他の相続人が相続する事態になれば、深刻なトラブルの種です。

使用貸借を選ぶ場合は、「その土地を将来誰が相続するか」を遺言書で決めておくことが、実質的な必須条件と考えてください。

「税金ゼロの使用貸借」と「争いゼロの遺言書」はセットで初めて完成する、と覚えておきましょう。

他の相続人から見ると、家が建った土地は事実上売れない財産です。代わりに他の財産を手厚くするなど、全体のバランスへの配慮も必要になります。

なお、同居などの要件を満たせば、相続時に小規模宅地等の特例で評価を大きく下げられる可能性は残ります。

住宅ローンの注意点|親の土地は担保に入る

使用貸借で家を建てる場合、実務上の関門が住宅ローンです。

金融機関は建物だけでなく土地にも抵当権を設定するため、親名義の土地を担保として提供してもらう必要があります

親が物上保証人(担保提供者)や連帯保証人になることを求められるのが通常で、親の同意と協力が前提になります。

兄弟がいる場合は、この時点で「実家の土地は誰が使うのか」を家族全体に共有しておくと、相続時の想定外の対立を防げます。

担保提供を親に頼む段階で、家族会議が自然に開ける形になります。この機会を、承継の方針決めに活用してください。

「贈与で名義を移してから建てる」と「使用貸借のまま建てる」の選択は、税金だけでなくローンの組み方にも影響します。ハウスメーカー・金融機関・税理士の3者に相談しながら進めましょう。

建築会社の提案は「建てること」が前提になりがちです。土地の承継設計は、利害関係のない税理士に別途確認するのが安全です。

重要ポイント:迷ったときの目安は「相続税がかかる家庭かどうか」です。かからない家庭なら使用貸借+相続が最安。かかる家庭では、値上がりや収益性を考慮して贈与(精算課税)と比較する価値があります。

二世帯住宅・親子リレーローンという選択肢も

親の土地の活用では、二世帯住宅という形もよく選ばれます。この場合も土地は使用貸借のまま進められます。

資金面では、親子リレーローン(親子で返済をつなぐ住宅ローン)を使えば、子の年齢を基準に長期のローンを組め、親の年齢がネックになりにくくなります

二世帯住宅で同居していれば、将来の相続時に小規模宅地等の特例(評価8割減)を使える可能性も高まり、税務上の相性は良好です。

区分所有登記にすると特例の適用が難しくなるなど、登記の形にも論点があります。二世帯住宅の計画段階から税理士を交えるのが理想です。

建物の名義(親子共有か子単独か)で贈与税や住宅ローン控除の扱いが変わるため、建てる前に資金の出し手と名義の対応を整理しておきましょう。

重要ポイント:資金の負担割合と名義の割合がずれると、その差額が贈与になります。「親が頭金を出して名義は子だけ」なら、頭金部分は贈与として非課税枠の範囲か確認が必要です。

意外と贈与税がかかる土地特有のケース

土地には、贈与のつもりがなくても課税される落とし穴があります。分筆・持分・低額譲渡など、土地特有の課税ケースを知っておきましょう

分筆で持分と違う面積を取得した

共有の土地を分筆(分割)して単独名義にする場合、分け方に注意が必要です。

持分どおりの価値で分ける限り、贈与税はかかりません。7対3の共有なら、価値ベースで7対3に分けるのが原則です。

しかし、元の持分より価値の大きい土地を取得すると、超過分が贈与とみなされます

面積で等分しても、道路付けや形状で価値に差があれば「価値の移動」が起こり得ます。分筆の設計は面積ではなく評価額ベースで行ってください。

分筆には土地家屋調査士による測量・登記も必要で、数十万円規模の費用がかかります。共有解消の方法は、費用込みで比較しましょう。

共有持分の変更・持分放棄

共有名義の土地で持分の割合を無償で変更すると、増えた人への贈与になります。

また、共有者の1人が持分を放棄した場合、その持分は他の共有者に移り、贈与として課税されます

「放棄だから贈与ではない」という理屈は税務上通りません。共有関係の整理は、課税を織り込んだうえで方法を選ぶ必要があります。

共有解消の方法には、持分の売買・交換・分筆などもあり、それぞれ課税関係が異なります。目的に合う方法を専門家と選んでください。

購入時の資金負担と持分登記の割合がずれている場合も、差額が贈与とみなされる典型例です。

夫婦で土地を買う場合は「出したお金の割合=登記の持分割合」を徹底する。これだけで持分がらみの課税リスクの大半は避けられます。

低額譲渡・借金の肩代わり

時価より著しく低い価格で土地を譲ってもらうと、時価との差額が「みなし贈与」として課税されます。

時価2,000万円の土地を500万円で買えば、差額1,500万円が贈与扱いです。「売買の形にすれば贈与税を避けられる」は通用しません

親族間売買で贈与とみなされないためには、時価の合理的な根拠(近隣の取引事例・不動産会社の査定・鑑定評価)を用意しておくことが重要です。

また、土地のローンを親に肩代わりしてもらう「借金の免除・肩代わり」も、その金額分の贈与になります。

負担付贈与(ローンごと土地をもらう形)の場合は、土地の時価から債務を引いた差額に課税され、評価も路線価でなく時価ベースになるため、課税関係が複雑です。

負担付贈与では、贈与する側にも譲渡所得税がかかることがあります。ローン付きの土地の移転は、必ず事前に税理士へ相談してください。

注意:税務署は登記の異動を把握しており、名義変更後に「お尋ね」文書で取得の経緯と資金源を確認してきます。「形を変えれば分からない」という発想は、加算税のリスクを増やすだけです。

もらった土地を売るとき|取得費の引き継ぎに注意

贈与でもらった土地を将来売る予定があるなら、譲渡所得税の仕組みも知っておきましょう。

売却時の利益計算に使う取得費は、「贈与時の評価額」ではなく「贈与者が取得したときの価格」を引き継ぎます

親が先祖から受け継いだ土地など取得費が分からない場合は、売却額の5%しか取得費にできず、売却益が大きく計算されて税負担が重くなります。

相続で取得した場合は、相続税の一部を取得費に加算できる特例(取得費加算)があり、売却前提なら相続のほうが一歩有利です。

「もらってすぐ売る」計画なら、渡し方の選択から売却の税金まで含めた設計を税理士に相談してください。

贈与→売却の2段階で考えると、贈与税・登記コスト・譲渡所得税の三重の負担になります。「親が売って現金を贈与」との比較が欠かせません。売却の予定は、相談時に必ず伝えるべき情報です。

重要ポイント:土地の購入時の売買契約書は、誰が承継する場合でも将来の売却時に重要な書類です。親が保管しているうちに所在を確認しておきましょう。

農地の贈与は税金の前に「許可」が必要

実家の田畑など農地を贈与する場合は、税金の前に法律上のハードルがあります。

農地の所有権を移すには、農地法に基づく農業委員会の許可が必要で、許可がなければ贈与自体が効力を持ちません

もらう側が農業を続けるかどうかで許可の要件も変わり、宅地への転用を伴う場合はさらに別の許可(転用許可)が必要です。

許可を得ないまま贈与契約書を作って登記を試みても、法務局で受理されません。手続きの順番が宅地とは根本的に違うのです。

なお、農業後継者への生前一括贈与には贈与税の納税猶予という特例もあります。農地の承継は、一般の宅地とは別の専門領域と考えて相談先を選んでください。

納税猶予は「農業を続ける限り猶予、一定の条件で免除」という強力な制度ですが、途中で農業をやめると猶予税額と利子税の納付が必要になります。後継者の営農の意思が固まっていることが、実質的な利用条件です。

重要ポイント:市街化区域の農地は届出だけで移転できるなど、地域区分で手続きが変わります。農地が絡む場合は、農業委員会への確認を最初に行いましょう。

贈与でもらうvs相続を待つ|総コスト比較

土地の承継で最大の分かれ道が「贈与か相続か」です。3つの税金の合計で比べると、構造的な差がはっきり見えます

総コスト比較表|評価額2,000万円の宅地(親→子)

【前提】評価額2,000万円の宅地を、親から18歳以上の子へ渡すケースで比較します。

項目 暦年贈与 精算課税で贈与 相続
贈与税・相続税 585.5万円 0円(相続時に精算) 財産次第(0円も多い)
登録免許税 40万円 40万円 8万円
不動産取得税 約30万円 約30万円 0円
当面の合計 約655万円 約70万円 約8万円+相続税

表の見方:単純なコストでは相続が最安です。精算課税でも登記系コスト約70万円は「今名義を持つための費用」として残ります

計算ロジック:【前提】評価額2,000万円の宅地。登録免許税=2,000万円×2%(相続0.4%)。不動産取得税=2,000万円×1/2×3%=30万円(宅地特例・相続は非課税)。贈与税は早見表参照(2026年時点)。

相続が有利になる典型ケース

次の条件に当てはまる家庭は、相続まで待つほうが有利になりやすいといえます。

  • ・遺産全体が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人)以下 → 相続税ゼロ+登記コスト最安
  • ・自宅の敷地で小規模宅地等の特例が使える見込み → 評価8割減は贈与では使えない
  • ・「使う」だけが目的 → 使用貸借+相続で税負担ほぼゼロ

相続税がかからない家庭が土地を生前贈与するのは、「かからない税金のために数百万円払う」逆転になりがちです

まずは財産全体と基礎控除を比べる。この確認だけで、答えが出る家庭が多くあります。

相続税の課税対象になるのは亡くなった人の1割程度です。「うちは対策が必要な側か」の判定を、すべての検討の入口にしてください。

贈与が有利になる典型ケース

一方、コストを払ってでも生前贈与に合理性があるのは次のケースです。

  • ・値上がりが見込まれる土地:精算課税で今の評価額に固定できる
  • ・賃貸収入のある土地:収益を早く子の世代へ移し、親の財産の膨張を防ぐ
  • ・争いの懸念がある:特定の子へ確実に渡して争族を予防する
  • ・相続人でない孫や子の配偶者へ渡したい:相続では渡せない相手に渡せる

税額の損得と「確実に渡せる安心」は別の価値です。目的がはっきりしているなら、登記コストは保険料と割り切る判断も合理的です

なお「特定の人に渡す」だけなら遺言書でも実現でき、コストは大幅に安く済みます。贈与の確実性と遺言の手軽さを比べてから決めましょう。

重要ポイント:贈与か相続かは、土地単体でなく財産全体の相続税試算とセットで判断するものです。登記の前に、必ず税理士の試算を挟んでください。

迷ったときの判断フロー

ここまでの内容を、シンプルな判断フローに整理します。

  • ・目的は「使うこと」だけ → 使用貸借(贈与税ゼロ・名義は親のまま)
  • ・遺産全体が基礎控除以下 → 相続で渡す(税ゼロ・登記コスト最安)
  • ・自宅敷地で小規模宅地等の特例が使える見込み → 相続で渡す
  • ・値上がり見込み・賃貸収入のある土地 → 精算課税での贈与を検討
  • ・争いの懸念が強い・相続人以外へ渡したい → 贈与で確定させる価値あり

多くの家庭では「使用貸借」か「相続」で足り、贈与が最適になるのは目的が明確な場合に限られます

フローのどこで迷ったかを整理してから専門家に相談すると、話が具体的に進みます。

迷いの正体は多くの場合、「財産全体でいくら相続税がかかるか分からない」ことです。全体の試算が、個別の判断を一気に楽にします。

重要ポイント:「建物だけ贈与して土地は使用貸借」「一部の持分だけ贈与」など、組み合わせの設計も可能です。二者択一で悩む前に、選択肢の幅を専門家に確認しましょう。

名義変更の手続きと注意点|STEP1〜4

贈与を実行する場合の手続きを確認します。「契約書→登記→翌年の申告」の流れと、やりがちな失敗を押さえましょう

手続きの流れ|STEP1〜STEP4

STEP1
評価額を調べて試算する。路線価×面積で概算し、贈与税+登記コストの総額と使う制度をここで確定します

STEP2
贈与契約書を作成する。土地の表示(登記事項どおりの所在・地番・地目・地積)と登記費用の負担者を明記し、双方が署名押印します

STEP3
法務局で所有権移転登記を申請する。登録免許税はこのとき納付します。必要書類がそろえば1〜2週間で完了します

STEP4
翌年2月1日〜3月15日に贈与税を申告・納税する。精算課税・おしどり贈与は税額ゼロでも申告必須。数ヶ月後に届く不動産取得税も納付して完了です

必要書類のチェックリスト

  • □ 贈与契約書
  • □ 登記識別情報通知(権利証)…あげる側
  • □ 印鑑証明書(発行3ヶ月以内)…あげる側
  • □ 住民票…もらう側
  • □ 固定資産評価証明書(登録免許税の計算用)
  • □ 登記申請書(司法書士に依頼すれば作成してもらえる)

精算課税を使う場合は、申告時に「相続時精算課税選択届出書」と戸籍謄本の提出も必要です。期限内の提出を忘れると暦年課税で計算されてしまいます。

2,000万円の土地なら、届出1枚の出し忘れで「0円のはずが585万円」という差になり得ます。申告を専門家に依頼する最大の理由がここにあります。

贈与契約書の書き方ポイント

土地の贈与契約書は、後の登記と税務申告の土台になる書類です。次の項目を漏れなく記載してください。

  • ・贈与者と受贈者の氏名・住所
  • ・土地の表示(登記事項証明書どおりの所在・地番・地目・地積)
  • ・贈与の意思と受諾の意思(「贈与し、受贈者はこれを受諾した」)
  • ・所有権の移転時期と引き渡しの方法
  • ・登記手続きへの協力義務と費用の負担者

特に土地の表示は、住所(住居表示)ではなく登記簿上の「地番」で書くのが鉄則です。ずれていると登記で使えません。

持分の贈与なら「所有権の持分2分の1」のように割合を明記します。日付は実際の契約日を正しく記載してください。

登記事項証明書は法務局で誰でも取得できます。契約書を作る前に最新のものを取り、記載を写すのが確実です。

重要ポイント:契約書の日付をさかのぼって作る「バックデート」は、税務調査で筆跡や紙の状態から発覚し、仮装として重加算税の対象になり得ます。契約書は必ずその都度作成しましょう。

やりがちな失敗3つ

【失敗1:7年加算を知らずに直前贈与】

相続対策のつもりで土地を贈与した3年後に親が死亡。相続人への贈与は相続開始前7年以内の分が相続財産に加算され、節税効果が消えたうえ登記コストだけが残った。

対策:暦年贈与での相続税対策は早く始めるほど有効。晩年の駆け込み贈与は効果が薄い。

【失敗2:兄弟に黙って土地をもらいトラブルに】

親から長男だけが土地の贈与を受け、相続時に発覚。特別受益の持ち戻しを主張する二男と対立し、遺産分割協議が長期化した。

対策:生前贈与は他の相続人にも説明し、残りの財産の分け方を遺言書で決めておく。

【失敗3:安易な共有名義で塩漬けに】

「平等に」と兄弟の共有名義で贈与を受けたが、売却にも建築にも全員の同意が必要になり、意見が割れて何もできない土地になった。共有者に相続が発生し、権利関係はさらに複雑化した。

3つに共通する教訓は、「土地の贈与は税金・家族・出口(将来の利用)の3方向から設計する」ということです

土地は分けにくく、動かしにくく、金額も大きい財産です。だからこそ、実行前のひと手間が他の財産以上に効いてきます。

登記が済んでからの相談では、選べる手段が大きく減ります。「動かす前」が専門家の力を最も活かせるタイミングです。

7年加算ルールの詳細は、下記の記事で解説しています。

参照元:国税庁 No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)

土地の贈与の悩みは一括相談・見積りで税理士に確認を

土地の贈与は、評価と制度選択の巧拙で結果が数百万円変わる分野です。登記の前に、一括相談・見積りで複数の税理士に設計を確認しましょう

一括相談・見積りが必要な理由|評価と設計で結果が変わる

土地の贈与の相談では、税理士の評価力と提案の幅が結果を左右します。

たとえば評価額2,000万円と思われた土地のケース。A税理士は路線価×面積のまま申告する方針。B税理士は不整形地としての補正と使用貸借の選択肢まで検討し、評価の見直しと制度の組み合わせで負担が数百万円変わる提案を提示しました。

土地の評価には補正の論点が多く、同じ土地でも計算する人によって評価額が変わります。

「そもそも贈与すべきか」から評価・制度選択まで、複数の専門家の視点で検証する価値がある分野です。

一括相談・見積りのメリット|実務力を3つのポイントで比較できる

複数の税理士から見積りを取ると、次の3つの判定ポイントで実務力を比較できます

判定ポイント1:土地評価の補正まで踏み込むか。A税理士は路線価×面積のみ、B税理士は不整形・間口・高低差などの減額補正を検討 → B税理士の方が、土地評価の実務経験が豊富と判定できます。

判定ポイント2:贈与以外の選択肢を示すか。使用貸借・相続まで含めた比較表を出せるか → 「贈与しない」提案ができる税理士の方が、依頼者の利益を軸に判断していると判定できます。

判定ポイント3:司法書士との連携があるか。贈与設計(税理士)と登記(司法書士)はセットのため、連携の有無で手続きのスムーズさが変わる → ワンストップ対応の事務所の方が、不動産贈与に慣れていると判定できます。

1社だけに相談するリスク|評価の見直し余地に気づけない

1人の税理士だけに相談すると、その評価と提案が最適かを判断する材料がありません。

土地評価の補正が漏れれば税金を払いすぎ、逆に強引な評価減は税務調査で否認されるリスクを抱えます。

登記と申告が終わってから「もっと安くできた」と気づいても、払った税金と登記費用は戻りません

実行前の比較だけが、後戻りできない手続きへの保険になります。

見積り比較でチェックすべき3項目

チェック項目 確認する内容
提案内容 贈与以外の選択肢(使用貸借・相続)との比較があるか
試算の前提 土地評価の補正・登録免許税・不動産取得税・将来の相続税まで含むか
報酬額 評価・申告・登記(司法書士)まで含めた総額か

重要ポイント:報酬の安さより「評価と設計の深さ」を優先してください。土地評価の補正1つで、報酬差の何倍もの税額が動きます

一括相談・見積りの手順|STEP1〜STEP4

STEP1
状況を整理する。土地の所在地・面積・固定資産税評価額・家族構成・渡したい相手と目的(家を建てる・収益化など)をまとめます

STEP2
一括見積り・相談サービスに依頼する。「土地の生前贈与の検討・贈与税と相続税の比較試算」と希望内容を明記し、3〜5社への同時打診を依頼します。土地の所在地・広さも記載。フォーム入力は5分程度です

STEP3
見積りと初回相談を受ける。各税理士から提案内容・試算額・報酬額が届きます。「使用貸借や相続と比べてどれが得か」を必ず質問しましょう

STEP4
税理士を選定・正式依頼する。提案内容の質・説明の丁寧さ・報酬の納得性で選びます。贈与を実行する場合は、申告期限(翌年3月15日)から逆算して進めます

依頼前の最終チェックリスト|事務所選び

  • □ 資産税(贈与・相続)分野の取扱実績を明示しているか
  • □ 土地評価の補正(不整形地など)の経験があるか
  • □ 贈与・使用貸借・相続の比較試算を提示してくれたか
  • □ 精算課税の副作用(小規模宅地等が使えない)の説明があったか
  • □ 司法書士との連携体制があるか
  • □ 報酬体系が明朗か(評価・申告・登記の区分)

重要ポイント:土地の評価力は事務所によって差が大きい分野です。「土地の評価実績」を明示している資産税専門の事務所が有力候補になります

相談準備のチェックリスト|スムーズに進めるために

  • □ 固定資産税納税通知書(評価額の確認用)
  • □ 登記事項証明書(あれば・法務局で取得可能)
  • □ 土地の場所が分かる資料(住宅地図・公図など)
  • □ 家族構成のメモ(相続人になる人の一覧)
  • □ 財産全体の概算メモ(預貯金・他の不動産・保険)
  • □ 渡したい相手と目的・時期の希望メモ

重要ポイント:「なぜ土地を渡したいのか」の目的が最重要情報です。家を建てたいだけなら使用貸借、という具合に、目的しだいで最適解が変わります

土地の贈与税に関するよくある質問(FAQ)

Q1:親の土地に家を建てると贈与税がかかりますか?

無償で借りて建てる(使用貸借)なら、贈与税はかかりません。名義も親のままで、登記や税金の手続きは不要です。

ただし、その土地は将来の相続財産として遺産分割の対象になります。誰が相続するかを遺言書で決めておくことが、トラブル予防の実質的な条件です。

Q2:土地をタダで名義変更する方法はありますか?

完全にゼロにはできませんが、親子間なら相続時精算課税で贈与税を0円にできます(2,500万円まで)。それでも登録免許税2%と不動産取得税は残ります。

トータルの負担を最小にしたいなら、名義変更を急がず相続まで待つのが最安です。相続なら登録免許税0.4%・不動産取得税ゼロで済みます。

Q3:土地の持分だけをもらった場合も贈与税がかかりますか?

かかります。持分の評価額(土地全体の評価額×持分割合)が贈与額として扱われ、110万円を超えれば課税対象です。

また、共有持分の割合を無償で変更したり、共有者が持分を放棄したりした場合も、増えた側への贈与として課税されます。

Q4:農地を親からもらうにはどうすればいいですか?

農地の贈与には、税金の手続きの前に農業委員会の許可が必要です。許可がなければ名義変更(所有権移転)自体ができません。

農業を継ぐ場合は、贈与税の納税猶予という特例を使える可能性もあります。農地は一般の宅地と手続きが大きく異なるため、農業委員会と税理士の両方に相談してください。

Q5:土地の評価額はどこで調べられますか?

国税庁の「財産評価基準書」サイトで路線価を調べ、面積をかければ概算できます。路線価がない地域は、固定資産税納税通知書の評価額に倍率をかけて計算します。

ただし形状や接道による補正で1〜2割変わることもあるため、申告に使う正確な評価額は税理士に依頼するのが安全です。

まとめ|土地の承継は「もらう・借りる・待つ」の比較から

土地の贈与税について、重要なポイントを整理します。

【贈与税の基本】

  • 土地の贈与税は「評価額-110万円×税率」で計算。評価額は路線価×面積で概算できる
  • 評価額2,000万円の一括贈与なら585万円(親子・特例税率)。兄弟間はさらに割高
  • 贈与税のほかに登録免許税2%・不動産取得税(宅地は2027年3月末まで軽減)がかかる

【税負担を抑える制度と選択肢】

  • 親子間なら相続時精算課税で2,500万円まで贈与税ゼロ(小規模宅地等の特例は使えなくなる)
  • 住宅取得等資金の特例は「土地の先行取得」の資金にも使える(土地そのものは対象外)
  • 家を建てたいだけなら使用貸借で贈与税ゼロ。名義は親のまま無償で使える

【注意すべき落とし穴】

  • 分筆の不均等・持分の変更や放棄・低額譲渡は、贈与のつもりがなくても課税される
  • 相続人への贈与は7年以内の分が相続財産に加算。駆け込み贈与は効果が薄い
  • 農地の贈与は農業委員会の許可が先。安易な共有名義は塩漬けの原因になる

【今すぐ取るべき行動】

  • 路線価×面積で土地の評価額を概算し、贈与税の規模感をつかむ
  • 「もらう・借りる(使用貸借)・待つ(相続)」の3択で総コストを比較する
  • 登記の前に、一括相談・見積りで複数の税理士に設計を確認する

※本記事は2026年7月時点の法令・情報に基づいて作成しています。税制改正により、内容が変更となる可能性があります。最新の制度については国税庁の公式サイトや税理士にご確認ください。

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